やっとの思いで目を開けて、そこにあるのは青を基調にしたカルナスの内装。息が荒い、汗が粘つく。もぞもぞと起き上がって立てた片膝に額をおしつけて、ようやく思い当たってうかがった同室メンバーは、大丈夫だ、どうやらぐっすり眠っている。
それとも、寝入ったふりをしていてくれているだけかもしれない。
わからないし、つきつめることでもなかった。だから改めて額を膝におしつけて、意識して深呼吸をくり返す。身体の内がわにこもるようだった不快な熱も、そうするうちにゆっくりと薄れていく。耳の奥に響いていた鼓動までやがて聞こえなくなった――意識しなくなった。
そうして、落ち着いたと自覚してから。
ゆっくりと目の前に持ってきたてのひらには、赤。
――え。
焦りで激しくまたたいて、それは確かに見間違いだった。多少汗で粘ついているけれど、普通の、いつもどおりの、なんの変哲もない自分のてのひら。血まみれにはなっていない。――見た目には。
ただ、この手は見えないだけで血にまみれている。誰が何もいわないとしても、自分が誰よりそれを思い知っている。チームリーダーを命じられて、チームの誰より先陣をきって戦ってきた。いいわけはいらない、この手は数え切れないモンスターの血を吸っている。
それ以上に。
自分で剣を握り、斬ってきたよりきっとずっと確実に多い数の命を、この手は終わらせた。
判断ミス、一言でいうならたったそれだけだ。
あの時、彼女の目に態度に本当に狂気を見出せなかったのだろうか。エネルギー結晶を渡せといわれ、それをどのように使うか問うことはできなかったのか。別室で休んでいるというレイミの無事を、まず確認するべきだったのではないか。そもそもカルナスから離れるべきではなかったのだ。あの船に乗っていたなら、多少の攻撃を喰らっていたところで、たとえば逃げ出すことだってできたのに。ワープこそできないとしても、大気圏内の移動に支障を生じるほどのダメージはなかったはずだ。
今だから、思う。何度もああすればよかったを思ってきた。そして結局、過去の愚かな――考えなしの自分が、結果として星ひとつを消滅させた。それは今さらどうにもならない。
そして、過ぎた過去にこだわった結果、どうにかなったかもしれないいろいろを呼び込んだ。
生きている以上、時間が流れていく以上。どう動いても、何もしなくても、世界は回っていく。何かしたなら、何かしたなりに。何もしなかったなら、何もしなかったなりに。きっと何をしても後悔は待っている。
こぶしを握りこむ。それを額に当てて、それから何ごともなかったように再び横になる。寝入る自信はない、眠気はとっくに去っている。けれど、今は休む時間でせめて身体だけでも休めておかなければならない。
赤い夢はまた見るだろう。後悔は、いつだってついて回る。
それでも、歩き続けるしかないのだと――長い長い思考の迷路をさまよって、やっと得た答えは、
そんなどこにでも転がっている事実だった。
