「まったくあいつらは……作業したらしっぱなしでどこかに行っちゃうんだからね。
――と、ああ、メモが……、
……?
フェイトとソフィアが入れかわったら??」
「ああ、ネル悪いわね。すぐに片付けるから」
「別に大したことじゃないからかまわないけどさ。悪いと心底思って、くり返さないようにするならね。
……ところでごめん、さっきついうっかり見ちゃったんだけど。なんだい、これ?」

―― Wenn 2

「え、ああさっきのメモね……。
たとえばこのパーティのメンバーが、もしも入れかわっていたら果たして「現在」が存在するかの検証よ」
「ふうん?」
「……ていうのはわざとの言い回し。
平たい話、……このメモだと、もしもフェイトとソフィアの立場が入れかわっていたら、っていう単なる妄想よ。うまくまとまったら執筆に取りかかったけど、……まあ、結局構想考えているうちにフェイトが暴走したからボツにしておいたけど」
「暴走……」
「あのソフィアバカが突っ走ったわ……あれで思い知ったと思うけど」
「うん?」

◇◆◇◆◇◆

「だから、たとえばネル、あなたと……そうね、アルベルあたりが入れかわったとしたら、」
「あたしはあんな腹出すような格好したくないよ」
「モノのたとえよたとえ」
「たとえ想像でもあんな服を着るような趣味は、」
「分かってるから、……ふともも出すのは平気なくせに。
ま、それはともかく、……アーリグリフにクリフとフェイトが墜落して、」
「なになにマリア、僕のこと呼んだ?」
「…………復活早いわね。ちっ」
「……え? 何か言ったかい、マリア?? 今舌打ちが聞こえたような」
「気のせいよ」
「そ、そうかい……」
「ええと、気を取り直して……と。
地下牢に捕らわれた……のよね?」
「え??」
「イーグルがアーリグリフに墜落したあと」
「あ、そうそう。ご丁寧に拷問も受けたよ。
何も言わなかったし、本当のこと言ったところで信じなかっただろうし、適当な嘘吐いたところできっとバレただろうし。だからまあ、あれでアタリだったと思うけど……で牢に閉じ込められ……なんの話だよ?」
「さっきのあれ、ネルとアルベル入れかえたらどうなるかって」
「ふうん?」

「クリフとフェイトが同じ牢に入れられて?」
「で、そこにネルさんが――あいつが来るかあ? そもそも隠密に向かないだろあの性格じゃあ。こそこそするくらいなら死んだ方がマシとか言い出すよ」
「そうだね……それに、あいつの下につこうって部下がいるかねえ?」
「そうね……やっぱり無理があるかしら?
まあ、文句たらたら牢にやってきて」
「ネルさんは術で牢開けてくれたけど、」
「ああ、パフォーマンスの意味もあったんだよ、こっちは施術を使える、つまりシーハーツの王家に近いところにいる人間だよっていう。……通じなかったけど」
「前知識がなかったから……すみません、ネルさん」
「謝られることじゃないけどさ。
で、あいつならそういうこと考えないで刀ぶん回すだろ」
「「俺について来るかこの場で俺に息の根止められるか、好きな方を選ばせてやる」とかなんとか言うかしら。……反感煽るわね」
「男の言うことに従いたくはないな……」
「逆らったら死ぬだけでも、かい?」
「なおさらですよ、ネルさん」

◇◆◇◆◇◆

「話が進まないわね……ま、ともあれ牢を抜けたとして、」
「地下水路を通って街の中へ。
――そこいらの兵士ぶん殴って鎧とか奪ってそれつければ誤魔化せないかな?」
「どうだろうね……?」
「ことごとくアルベルについていきたくないわけね……」
「ああ、絶対にイヤだ。
あの時は相手がネルさんだったから! だから悩んだけどついていったんですよ!!」
「あ、……ありがとう」

「……ともあれ、部下をオトリにカルサアに入る、と。
……本当にさ、あいつのためにオトリになる部下がいるのかねえ? むしろあいつの首と「グリーテンの技術者」の身柄、ノシつけて押し付けられそうだけど」
「しかも、その後あいつに「部下は預かった、返してほしくば」とかって手紙送ったところで……」
「無視するわね」
「見なかったことにするどころか、うっかり暖炉に突っ込みかねないね」
「で、さらに部下が寄り付かなくなる……と。
ダメだよマリア、やっぱ無理がある」

「――まあ、どこかにおびき寄せるなら簡単だけど」
「え?」
「「強い敵を用意しました、腕に自信があるなら以下の場所まで来られたし」で、」
「食いつくな」
「尻尾振って飛びつくね」
「任務放り出すこと間違いないわよ。部下に持ちたくないタイプだわ。……上司にも」
「操作は簡単だって言ってたじゃないか」
「その後の後始末が真っ平よ。
理由はともかく、クリフたちろアリアスに送りつけたあとで一人単身修練場に向かう、と」
「隠密向かないよなあ、絶対入口正面から殴りこみに行く」
「正々堂々と、ね。
……どうしたの、ネル? 黙りこんじゃって」
「――無理だよ、どうやったって無理だ。
あたしはあんな服、絶対に着ないからね!!」
「……こだわるわね」
「女性がスリット入りの服着るのって似合うと思うんだけどなあ。クレアさんとかすごくいいじゃないか……!」
「変態」
「最低」
「な、なんだよなんだよ! いいじゃないか思ったこと言っただけなんだから!!」
「そんな目でクレアを見てたんだね……」
「あ、あの、その、……彼女には言わないでクダサイ。
笑ってるなよマリア」
「……だって面白いんだもの」

◇◆◇◆◇◆

「ともあれ、ネルさんがあの格好を嫌がったので、」
「そもそもそこかしこでつまずいて、話にならないじゃない。
だから、この案もボツね」
「悪いね、あんな格好やっぱりしたくないよ」
「一回だけでも?」
「一回だけだってやなもんは、嫌だよ」

◇◆◇◆◇◆

余談。

「ああは言ってたけどさ、実際ネルさんがアルベルの服着て、修練場の高いとこから出てくれたらどっきどきだよな。高いところだから、風強いし」
「様になるわよね」
「うっかり吹いた風が彼女の、」
「……ねえ、脳天に風穴開けるのと耳の穴がひとつ増えるのとどっちが良い?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ほんの些細ななんてことないついでに品もない冗談です許してくださいマリアさん……!」
「――馬鹿」

―― End ――
2005/10/29UP
パーティ
OFP
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Wenn 1 2
[最終修正 - 2024/06/26-14:45]